狐の恩返し(勝田の民話から)15/23

(市報かつた昭和61年11月10日号より。文・平野伸生 絵・穂垣智子)

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キツネは足に傷を負って、いかにもいたいたそうな表情で、じっと医者の顔をみつめていました

狐の恩返し

むかし、高野村にたいそう心のやさしい医者がいました。医者は村びとが病気で苦しんでいると、どんなに大雨が降っても、大風が吹いても、真夜中でも、出掛けて行って治療をしてあげました。

ある晩のことでした。隣の須和間村の若者が、村びとが病気で苦しんでいるのですぐにきてみてほしいと、息をきらしてかけこんできました。高野村と須和間村境は、田んぼや坂道があって昼間でもさびしい所でした。けれども、医者は苦にもせず薬箱を手にすると若者と一緒に出掛けて行きました。

病人はことのほか難病で、手当に時間がかかり、家路についたのは真夜中を過ぎていました。須和間の坂を下り、田んぼを過ぎて高野の坂道にさしかかったときでした。道端に一匹のキツネが、うずくまっていました。 狐の恩返し(勝田の民話から)15/23 の続きを読む

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