雨降り塚(勝田の民話から)13/23

(市報かつた昭和61年10月10日号より。文・平野伸生 絵・穂垣智子)

雨降り塚

1010
村びとが草刈りに来たついでにこの塚に立ち寄り、手を合わせていました

中丸川を臨む大成町の一角に、近年まで大きな土饅頭塚がありました。この塚には、世にも不思議な話が伝えられています。

むかし、このあたり一帯は、昼なお暗い林や原野でさびしい所でした。ある日、六部笠をかぶり、白装束姿の六部夫婦がやってきました。その時、一天にわかにかきくもったかと思うと、稲妻が走り、大地も震えるばかりの雷が鳴り響き、雨が激しく降り出しました。

六部夫婦は近くの大木の陰へかけこんで、身を寄せ合い、雨をしのいでいました。ところが、運悪くこの大木に雷が落ちて、六部夫婦はあえなく死んでしまいました。

六部とは法華経66巻を用意して、全国66力国の有名なお寺に、一部ずつ奉納して歩く旅の行者のことです。夫婦はもう何年も旅をしていたらしく、衣淕はぼろぼろによごれていました。

「きのうの、れえ(雷)様で旅の六部が死んだど、かねえそうになあ」

村びとは、六部夫婦を哀れに思い、大きな塚を築いて、ねんごろに葬り弔ってあげました。それから何日か過ぎたある日、村びとが草刈りに来たついでにこの塚に立ち寄り、手を合わせていました。すると、今まで雲一つない青空に雨雲が広がって、雨がパラパラと降ってきました。このときは、村びとはさほど気にもとめませんでした。ところが、次の日も塚に立ちよると、同じようなことが起こったのです。

「あの塚さ行ぐど、なんで雨降んだっぺ、おがしなごどもあるもんだ」

「そんなごだああんめえ、偶然だっぺ。。おれがためしてみっから」

話を闌いた村の若者は、さっそく塚へ出かけて行きましたが、同じように雨が降り出しました。それ以来、だれが行っても塚に近づくと、急に雨が降るところから、この塚を「雨降り塚」とよぶようになったと伝えられています。

広告