まぬけなムジナ(勝田の民話から)2/23

(市報かつた昭和61年4月25日号より。文・平野伸生 絵・穂垣智子)

まぬけなムジナ

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大きな腹をまん丸に膨らませて、たちまち十五夜のお月様に化けました

中根に笠谷の坂とよばれる所があります。むかし、このあたりは深い雑木林におおわれ、とてもさびしい所でした。

笠谷の坂には、人を化かすことがじょうずなキツネがすんでいて、道を迷わせたり、手みやげをだまし取ったり、悪さをしていました。

ある日、キツネがのんびりひなたぼっこをしていると、そこへ近くの狢谷津(むじなやづ)とよばれる所にすむ一匹のムジナ(タヌキの別称)が、のこのこやってきました。ムジナはキツネとくらべて、人を化かすのはあまり上手ではありません。キツネはまぬけなタヌキを、からかってやろうと考えました。

「人間を化かすごだあ、わげえねえよ。だが、おめえにゃとでもでぎめえ」と、キツネは自慢しました。「そのくれえのごだあ、おれにもでぎらあ。今夜やってみせっぺ」

ムジナは、キツネがあまり自慢をするので、腹だちまぎれにキツネと約束をしてしまいました。

その晩、ムジナは道端の木に登って待ち構えていると、白い手ぬぐいでほおかぶりをした村びとが一人、いそいそとやってきました。ムジナはふたまたに分かれた枝につかまったかとおもうと、大きな腹をまん丸に膨らませて、たちまち十五夜のお月様に化けました。

村びとは、ぼんやりしたお月様を見あげて、「はてな、今夜は十五夜だっけかな。暦では確か三夜様(十三夜)のはずだが。さては、ムジナめおれを化かしてんだな」。村びとはそれに気づくと、ほおかぶりをしていた白い手ぬぐいをとって、ムジナが登っている木の根元に巻きつけました。ムジナは白い布が一番きらいだったのです。ムジナはこわくて木からおりられず、一晩中腹をまん丸にしていたということです。

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